【新卒年収1千万以上?】米国データサイエンティストの年収事情【リアルな実情を公開】

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こんにちは,最近アメリカではデータサイエンティストの給料が高騰しています.

その背景については前回の記事とか前々回の記事に書かせていただきました.

それらの記事で取り上げたGlassdoorの50 Best Jobs in America for 2019 ではデータサイエンティストの給料(base salary)中央値が$108k(1千万円以上)でした.つまりボーナスやストップオプションをのぞいて半分のデータサイエンティストは$108kを上回るということです.(kというのは1,000のこと.1$=¥100換算で$100k=1千万円と見ていただければわかりやすいです)

ここで,今日は私が実際にアメリカでデータサイエンティストとして働いてみて,データサイエンティストの給料が高いかどうかについて話したいと思います.

結論からいうと

  • アメリカの生活費(特に家賃)は住む都市によってまちまちなので,都市によって給与のレンジが大きく変わる.私の住む都市では$108kだけでは低くて生活が厳しい
  • ベイエリア,ボストン,NYあたりの高物価都市であれば$100k~$220kくらいが相場だと思う.スタートアップでは新卒が$100kくらい,大手企業であれば新卒が130kくらい
  • 物価が日本より高いので,その分給与水準も高い.データサイエンティストでもそこまで浪費する暮らしはしない

アメリカは都市によって給与水準が全然違う

私のチームはベイエリア(シリコンバレー・サンフランシスコ),NY, ボストン,をはじめ様々な都市にメンバーがいますが,ベイエリア・NY・ボストンがトップでどれも同じ水準です.他の都市はその都市の物価..というか主に家賃水準に応じて水準が決まっています.

Linkedinの給与統計(2019年)によると,(こちらから見れます)

  • ベイエリアのデータサイエンティストの給料の中央値が$153k
  • NYが$190k
  • Bostonが$115k

この数字だけみると,NYがすごく高くて,Bostonが低くなってますが,私の会社はこれら3都市では給与水準は同じで,おそらくですがこの統計ではNYはマンハッタンに絞られていてどこも家賃が高く,ベイエリアはサンフランシスコとシリコンバレーは高いですがサンマテオやバークレーなど家賃が安めなところもあるのでその分NYより低い給与水準も統計に入っているのかと思います.

ボストンも中心地は家賃高騰してますが,小さい街なのでちょっとずれたところは家賃が安くなり,そういったところにオフィスをもつ会社の給与水準は下げられています.

なにが言いたいかというと,同じ街でもオフィスの場所によって結構給与水準が違うので,ましてやアメリカ全体の給与統計なんて,あまりあてにならない(その数字だけみてどうこう話すことはできない)です.

それではそれぞれの家賃統計も見てみましょう.これも同じように,同じ都市でも地区によって高級住宅街があったり,低所得者の街があったりするのであまりあてにはなりませんが・・・(東京23区といっても麻布のような高級住宅街もあれば比較的安い地域もあるのと一緒です.アメリカの場合はもっと極端で,道路一本挟むと街の雰囲気がガラッと変わります)

引用:https://www.renthop.com/rental-stats-and-trendshttps://www.renthop.com/rental-stats-and-trends

これは各都市の1BR(1ベッドルーム:日本でいう1LDKくらい)と2BR(2ベッドルーム:日本でいう2LDKにちかい)の月単位の家賃の平均値です.

やはりNY,Bayarea,Bostonは家賃高めです.シアトルやLA,DCもIT企業が結構あるのでデータサイエンティストの職もあるかと思いますが,家賃は低めのようです.

中央値は別途こちらのサイトから各都市のリンクをクリックすれば詳細の統計値がみれます.例えばBayareaをの詳細をみてみると1BRの上位5地区が以下のとおり

なんですかね,Centennialという地区が$24k(月250万!?外れ値ですねこれは)

下位5位5地区が以下のとおり

同じベイエリアでも(最高値と最低値は外れ値だとしても)高い地区と低い地区でかなりの差がみられます.

つまり都市やその地区によって家賃がかなり変わってくるので,それに合わせて企業も給与水準を設定していて,家賃が高い都市は給料も高く,家賃が低い都市は給料も低いというのがアメリカの給与事情です.

私は家賃高騰エリアに住んでいますが,私の会社(大手IT)の新卒は最低でも$130k,スタートアップで働く友人の話を聞くとだいたい新卒$100kくらいです.

年収1千万ではアメリカでは生活できない?

年収1千万では,NY,ベイエリア,ボストンあたりの家賃高騰エリアでは,日本のようなQOL(Quality of Life)を維持するのはかなり厳しいのが現状です.そして,だいたいデータサイエンティストのような高スキルを必要とする職業の多くが上述して家賃高騰エリアに集中しています.

いまやいたるところでアメリカのエンジニアやデータサイエンティストの年収が話題になっていますが,年収だけをみてはいけません.そこでのLiving Costも違うし為替も違うしで,単純にアメリカの給与ドルを日本の給与円に換算するとミスリーディングを起こします

私の例でいうと,私はまさに家賃高騰エリアに住んでおり,毎年のように家賃が上がっています.

私のチームメンバーが同じマンション地区(隣のビル)に住んでいるのですが,家賃の契約更新時に家賃が12.5%も上がったそうです.($3100/月→$3500/月くらい).

アメリカではだいたい1年契約なので,私の部屋もおそらく次の更新ではそれくらいの家賃が上がると思います.ちなみに私の年収は今年10%ほど上がっています

私の今の年収が$150k程度ですが,手取りはだいたい$8000/月になります.家賃や光熱費,通信費等を差し引くとだいたい半分くらいになってしまうでしょう.

アメリカは家賃だけでなく,外食費もものすごく高く,感覚でいうと二倍くらい払ってます.この間うどんを食べましたが一杯$14もしました.これに加えて通常20%ものTipを払うのが普通です.

日本の食材(米や日本の野菜,醤油などの調味料)を買おうものなら日本で買うより3倍はしますし,日本の本も20%~50%ほど高いです.

私の場合妻が働いていないので,これらの出費が二倍になります.

それでもデータサイエンティストとして働いていて$150kもらっていれば,生活に困ることはありません.

が,正直そんなに裕福かというとそうでもないです.正直家賃高騰エリアでは,年収1千万円ではあまりいい生活ができないと思います.

日本の給料の1.5~2倍もらわないと同じようなQOLは得られないと思います.

チームのみんなもすごく節約して生きている

私のチームはアメリカの大手IT企業のデータサイエンティストチームで,給与レンジはだいたい140k~220kくらいです.(他都市のメンバーはこれより低いですが) そして,隣のSoftwareEngineerチームの給与レンジより10~20%ほど高いです.

それではさぞかしみんないい服着ていいもの食べていいところに住んでいるのでしょう と思いますよね??

まじでみんな浪費しない人たちです笑

まずランチはほとんどのメンバーがお弁当を持ってきてます.私も大抵お弁当を持っていきます.みんなもってくるのは昨晩の残り物や冷凍食品です.

あと,アメリカではあまりランチにレストランにいく文化はなく,外で食べるとしても大抵ファストフードのようなところで買ってオフィスで食べるのが一般的です.これでもだいたい$10くらいしますが笑

人気メキシカンファストフードのChipotle.紙皿にライス,豆,サラダ,肉,チーズやソースなどを盛り付ける.結構うまい

飲み会もいつも17時くらい初めてビール1,2杯飲んで20時ごろに帰り,夕飯は自宅で家族と済ませます

みんな私服なので高いスーツなども買いませんし,乗ってる車も安い日本車が多いです.

日本では給与がちょっと高い(年収1千万くらいでしょうか)人たちが,飲み会で後輩に奢ったり,美味しいもの食べに行ったり,高いスーツ買ったり時計を買ったりしているイメージですが,アメリカでは最低でも年収2千万くらいまでの人たちはそんなに浪費していない印象です.

それでも,データサイエンティストがアメリカで高給取りの部類であることは確かです.なので他の職種の人たちはもっと節約している人が多いです.

2週間前にいつでもクビにできる

アメリカの給与を語るときにこれを知っておかないとミスリーディングを起こします.

アメリカでは会社はいつでも従業員をクビにできます.しかも2週間前に告知すればOKです.逆に従業員も2週間前に会社に言えばいつでも会社を去ることができます

私の職場でも先日隣のチームの人が解雇されましたし,一年くらい前ですが向かいに座っていた隣のチームのマネージャーが解雇されました.

突然解雇になるので,解雇されたあとはもちろん無給で,日本のような雇用保険なるものもありません.(会社によっては手切れ金のようなものを払うこともあります)

これについてはまた別途記事を書きたいと思いますが,職は日本とは比べ物にならないくらい安定ではなく,いつ解雇されてもおかしくないのが現状です.

そのため給与の水準が少し高い.といった感じでしょうか.

まとめ

今日はアメリカのデータサイエンティストの給与について話をしました

給与だけを見るとあり得ないくらい高給取りのように思えますが,その都市の物価をみたり,雇用体系をみることで,そこまでありえない数字ではないことがわかっていただけたと思います.

ほんと,年収2千万くらいは結構普通にいますが,みんな自分が高給取りだと思ってませんしめっちゃ節約してます.

少しでも今ネットで騒がれている「データサイエンティストの給料」に対して,新しい視点で見れるようになっていただけたら幸いです.

それでは!!